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66話 ページ16

「俺が騎士団長のときの話だ。まぁ、トップの存在なわけだから見習いとかの世話もするだろ?」

「そうなん?下っ端の仕事じゃないんそういうの」

「偉いやつの責任だ。まぁ、そう思うやつもいるだろうな」


「…見習いを戦場に連れて行った俺が馬鹿だったよ。俺のせいで、そいつは片目を潰された。

努力家でいいやつだった。今でも罪悪感が抜けない

でもな、そいつは俺を責めてくれなかった。弱い自分が悪いって

目が片方無くなったからなんだ!俺はそれでも役に立ちたい!…って底抜けに明るいやつだった。

憧れた。聴力を失っただけで落ち込んだ俺とは違って、あいつはそれをバネにして副団長まで上り詰めたんだ。
…すごいやつだったよ、本当に」


「カイザーさんは、そいつへの憧れで明るく振る舞ってたんやな」

「そうだ。その後は知らないぞ?すぐに騎士辞めちまったからな、歳も歳だし。今はただのおっさん!」

「知っとる」「ひどい」



聴力は…片耳聞こえなくなっただけで、平衡感覚が消える
まっすぐ歩くのが急に難しくなるんやって。
それくらい、音は大事なんや

片目もそう。奥行きが分からんくなるんやって。



「だからなんだって話だろ?」

「まぁ、せやったな」

「歩くところから始めないか」

「…剣は、振らなしゃあないもんな、オレ」

「あぁ」

「手伝ってやるって言いにきたんやな?」

「そうだ?」

「……じゃあ、ロボロのパン屋行きたいわ。腹減ってさ。連れてってや」

「よしきた!!行くぞー!」

「ハハッうるさ」



目ぇ瞑ったまま歩くのって難しいやろ?
頭ではこうしたいって思ってても、体が言うこと聞かへんねん。

地面の感触をつかむところから、歩行訓練的なんが始まった。



「壁沿い歩くだけでも転けそうになる…」
「最初はそんなもんだろ」

手を引かれずに歩くのがこんなに難しかったなんて。
カイザーさんの声の方向と、手で触れる壁を頼りに建物を出た…らしい。ここ外らしいで

シャバの空気久しぶりに吸った〜!!
冬の冷たい空気がおいしい!


「キッツ…」
「はい、次はパン屋まで!いい匂いするんだろ?早く行きたいよなぁ〜?」
「うっぜぇ!!ちょっと黙れ集中しとんねん!!」


煽りスキルあるよなこの人。
匂いを頼りに歩けぇ…??

風がどっちからか、両手を広げて確かめた
匂いが風に乗ってくるなら―――

「おー偉い偉い」
「……多分こっち!!!合っとるか!?」
「!?正解だ!よーしそのまま走れ!!」
「アホ」


…手を引かれてパン屋に着きました。

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天然記念ゴミ(プロフ) - ーーーさん» (^_-)-☆ (3月19日 2時) (レス) id: bde2ec8f8b (このIDを非表示/違反報告)
ーーー - つ、つづきをくれーーー (3月18日 20時) (レス) @page26 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
こーど - めちゃ好き…面白いのになぜ伸びない… (12月28日 23時) (レス) id: 65133e32a9 (このIDを非表示/違反報告)
nu(プロフ) - 好きです…ありがとうございます……更新待ってます…!! (12月27日 14時) (レス) @page8 id: b0397f8cd1 (このIDを非表示/違反報告)
アスカミ - 天然記念ゴミ様の別の作品の、「一目惚れ悪魔と,,,(略)」の転生モノだと思っていて…今回ようやく気付いて。それは出会っていなかったようなものなので… (12月25日 18時) (レス) id: 6edaad17fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天然記念ゴミ | 作成日時:2023年12月24日 15時

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