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◆ 団長視点

✼ ✼ ✼



はっとAが歩いて行った方に振り返る。
一瞬、昔のように名前を呼ばれた気がして。

でもそこには彼女の姿はなく、気の所為だったと頭をふる。

そうだ、今の彼女に名を呼ばれることはないのだ。
あの時のあの子は……一度死んでしまったのだから。



___きり、やん……たすけ……



「……っ!!!」



記憶がぶわりと蘇りそうになり、ぐらりと身体が傾く。
ばんっと机に手をつけば、じんわりとした痛みが両手を伝って脳を刺激してきた。
それでもあの子が受けた痛みからは比べ物にならない。











✼ ✼ ✼











あの日、手を伸ばした少女は俺に懐き、水を吸収した植物が花開くかのように、あっという間に色んな芸を身に着けていった。
一躍サーカスの花形に上り詰めた彼女に、パートナーとして俺も誇らしかった。


……でもそう思わないやつも多かった。

ある時、彼女に嫉妬した団員たちが彼女を痛めつけようと、辱めようと手を出したのだ。
何人もの大きな男たちに押さえつけられ、何人もの女たちの嘲笑の的になり。
団長に呼び出されていた俺が気づいて駆けつけた時には、ぼろぼろで虚ろな目で虚空を見上げている人だったものが床に放り出されていた。

それでも俺を見て生気を一瞬取り戻し、俺に助けを求めてきたのだ。





けれど、それが彼女の最後の言葉だった。





気づけば、サーカスの敷地内にいるのは彼女の躯を抱きしめている真っ赤になった俺だけ。
そんな俺の前に、悪魔が現れると俺にこう囁いてきた。



___人間の魂を集めてくれたら、その引き換えに彼女を生き返らせてあげるよ



それに迷うこと無く頷いた。
だって彼女がいないのなら、俺だけ生きていたって意味はない。
悪魔と契約しようが、この身が滅びようが、何も意味はないのだから。


悪魔はそんな俺に笑うと手始めに彼女の魂を人形へと移した。

ぱちりと開いた瞳に、その頬に、温度はない。
それでもその仕草、性格、好み、喋り方、欠けてはいるが記憶……その全てが彼女を【A】だと示していた。




もう、この魂を失わないと誓った。
だから俺はもう一度名前を呼んでもらえるまで……




___きりやん!








「さぁ、ショーを始めようか」













ようこそ、DREAM CIRCUSへ







end.

✼ ✼ ✼

// しらたま。→←▽



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しらたま。(プロフ) - るあさん» るあさん!返信が遅くなってしまい申し訳有りません!何かしらで通知を見逃してしまっていたようです(汗) コメ頂きありがとうございます!ntjさん少し特殊なお話でしたが受け入れて頂けてとても嬉しいです^^ 残り数日、お付き合いくだされば幸いです✨️ (4月25日 2時) (レス) id: 5d28ad3807 (このIDを非表示/違反報告)
るあ(プロフ) - 拾われた子とその恩人の話好きなので嬉しい、!特に'それはきっと素敵なこと'が好き!善意から距離取ろうとする主人公と接し方が分からないinrさん可愛すぎました、私もあのご夫婦大好きなのでメインなのも嬉しかったですれ!! (4月17日 17時) (レス) id: cdc395c024 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しらたま。 x他4人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2024年2月20日 18時

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