その手の暖かさ【zm】 ページ8
No side
「あ“〜さむ、」
ある冬の何処かの家で、1人の男が顔を赤くしながら起床する。
「早よこたつださな、」
彼がそう言ってリビングのドアを開ける。
「あっ、おはよ！ぞむくん！」
「っぇ、」
テレビと暖房をつけて座っていた女性を見た途端、男の顔は赤ではなくなる。
「え、なんでおんの、？」
「なんでって、なにが？？」
彼の話の意図がわからない彼女は、そう言えばと立ち上がりキッチンへ。
「はい、これ！」
「な、なに、」
「ねぇ、さっきなら顔色悪いよ？あっ、もしかして風邪かな、！？ちょっと待ってね！あこれ持ってて！」
女は、手に持っていたものを彼に押し付け、暫くしタオルやら体温計やらを持って帰ってきた。
「大丈夫〜？って、なんで突っ立ってんの、座って！」
「ぇあ、うん」
男はしどろもどろになりながらも女の命令を受ける。
「うーん、熱はないね！最近雪も降ってるからね」
「、、な、なぁ、、」
「んー？」
男は意を決したように女に問う。
「なんで、まだおるん、？」
「はぁ？アホか」
「あでっ、」
男にデコピンをかます彼女からは悪びれた様子も見てとれない。
「なぁ、ほんとになんで、？真面目に答えてや、」
「....」
「お願い、知りたいんよ、」
男が縋り泣くように女性の肩に顔を埋める。
「...ね、ぞむくん」
「ん、どしたん、？」
「手、繋ぎたい」
「、！！」
女がそう言った途端、男は顔をばっとあげる。
「ええよ、いつまでも繋いどいたる」
「ほんまに？」
「ほんまに」
同じ言葉を繰り返すのが何だかおかしくなったのか、2人は目を合わせながら笑った。
「ぞむくん」
もう一度そう言った女は手を差し出しながらいきいきした目で男を見ていた。
「A」
男はその手を取るのに、一瞬の躊躇をした。
だがすぐに、彼女を手を引いて彼の胸へ引っ張った。
「っぞむ、？」
「ずっと、一緒やからな」
彼の手は酷く冷たいものだったが、
女の手の温度をもらう男は、
よかった、と涙を流していたらしい。
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作者名：シロクも | 作成日時：2024年2月27日 0時
