-7-また、息が詰まる。 ページ7
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''俺の彼女''
ぐるぐると脳を犯すその言葉。理解ができない。頭から離れない。なんだ、なにを言ってるんだ。
「……へー、そう。……じゃあね」
佐野さんは彼女、と紹介された私を訝しげに見たあと静かに図書室から出ていった。
未だ理解ができないでいるその発言について、言葉にして聞いてみる。
『……どういうことですか…?』
「あ、ごめんごめん」
らっだぁさんがあまりにも軽く言うものだから、自分がおかしいのかと錯覚してしまう。
らっだぁさんはヘラヘラとまたいつものように話し始めた。
「おれアイツに好意持たれてんだよねー、でもおれは嫌いだからできれば関わりたくなくて」
Aのこと彼女って言ったらさすがに話しかけて来なくなるかなって、とウインクをしてくる。てへぺろじゃない、急すぎる。
でもなぜか、嫌ではなかった。
むしろ人助けだと思えばいい事だ。しかもらっだぁさんには借りがあるから、それを返すためのものだと思ったらなんだってぬるいもんだ。
『……あんま人のこと嫌いとか言わない方がいいですよ』
「えぇー、Aも苦手なタイプっしょ、さっきすんごい顔してたよ」
『どんな顔ですか』
こんな顔ー。そう言ってまさに変顔と言えるような顔をするらっだぁさん。
『…んふ、…殴りますよ』
「A笑ってるじゃーん、初めて見たかも」
確かに、らっだぁさんと顔を合わせる時はいつも泣いてる時だったからなあ。
…なんか、らっだぁさんって眩しいな。向けられた笑顔もだけど、存在が。辛い時に現れてくれた救世主だからなのかな。
「……まだアイツのこと好きなん?」
急な質問に息が止まる。アイツ、ぐちつぼくんのことだ。……好きに、決まってる。諦められるわけない。
『……まぁ…』
はい、と口に出そうとして不意に視界の隅に深い緑が映る。ハッとしてらっだぁさんを盾にして隠れる。…ぐちつぼくんだ。しかも隣には……黒瀬さんか。いつも一緒にいるなぁ。そりゃそうか、カップルなんだもん。
やっぱり、苦しいんだなあ。目の当たりにするとどうも息がしずらい。
『……いや、もう好きじゃないです。諦めました』
らっだぁさんの目をみて言った。
私のぐちつぼくんへの想いの、せめてもの抵抗だった。
「…ふーん、そ。」
息がしずらいなあ。
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カフェラテ好きののあ。 - また更新!?ありがとうございます神作者様!! (3月9日 11時) (レス) @page18 id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - 死ぬほど好きです。もどかしくなる度グワーーーと叫び出したくなるぐらいのめり込んでいました。更新、無理なく頑張ってください。 (12月29日 21時) (レス) @page17 id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)
レノ(プロフ) - めちゃタイプです〜🥹✨素敵な作品ありがとうございます、、、😻😻 (12月23日 2時) (レス) @page17 id: 917f3c209a (このIDを非表示/違反報告)
カフェラテ好きののあ。 - 久々に見たら更新されてた...!(歓喜)更新大変だと思いますが(無理のない範囲で)頑張ってください!! (12月9日 11時) (レス) @page17 id: ee761176f2 (このIDを非表示/違反報告)
アスカミ - うわ!!神!コメントははじめましてですね。ですが今年の7月から楽しみにしてました!!更新楽しみにしてますね!体調気をつけ、程々にがんばってください。 (12月3日 21時) (レス) @page17 id: 6edaad17fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:万年金欠の佐伯さん x他1人 | 作成日時:2023年1月29日 22時