-3-貴方にとっての特別とは。 ページ3
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一限目から体育なんてふざけてんのか……なーんてため息を吐きながらグラウンドを走る。
もう疲れた。運動音痴の人もなかにはいるってことを先生は理解するべきだと思う。どうなってんだよ。
しかも雨が降ったあとで滑りやすい。
……こりゃコケたら終わりかな。
「先生グラウンド5周はキツいですよー!」
遠くで先生と笑いながら話すぐちつぼくんの声が聞こえる。ぐちつぼくんの彼女の黒瀬さんは隣のクラスだから、友達と一緒に。…黒瀬さんがいたら彼女と走ったり話したりするんだろうなぁ。
自分で気にし始めた話題なのにどうも胸が締め付けられる。私は相当なバカらしい。
…やっぱり、ぐちつぼくんの笑い声は元気がでる。
遠くから聞こえる独特な笑い声につられて少し微笑んでしまう。……あぁ、…まだ好きだな。でもきっとこの好意はぐちつぼくんや黒瀬さんからしたらすごく迷惑で嫌なんだろう。
だからこそ、もうやめたい。ぐちつぼくんを好きなのも、黒瀬さんに嫉妬してしまうのも。
全部全部、ただのひとりよがりじゃん。
全部''ひとりよがり''でまとめてしまえば、これ以上傷つかなくて済む。
だから全部終わりにして、ぐちつぼくんとはただの友達という関係になればいいんだ。それが正解なんだ。
『ぅがッ』
そんなことを考えていれば、なぜか急に視界がかすんで見事な程に転んでしまった。
幸いなことにジャージを着ていたから膝を擦りむくことは無かったが、どうやら足を挫いてしまったようで足首がズキズキと痛む。
「Aー!?だい、大丈夫かお前!?」
……やっぱり、1番最初に駆けつけてくれるのはいつもぐちつぼくんだね。
彼からしたら私をなんら特別視してる訳ではない。けれど私にとってこれは紛れもなく嬉しいことで。だからこそぐちつぼくんを好きになった。そうだと思う。
『…うん、大丈夫。ありがとう』
そう言って立とうとするとやはり足首が痛むようでバランスを崩してしまう。
「…足怪我してんの」
ほら、と背中を向けて屈んでくるぐちつぼくん。
……あー、優しいんだよなあ。
彼女以外の女に優しくしちゃダメじゃん。
『……ありがと、』
「ん。よーし!ぐちつぼ号発車しまぁーす!!!!」
大きく響く声につい笑みが零れてしまう。
好きだなあ、なんて。
さっき辞めようって思ったばっかりなのに。
私ってめんどくさいなぁ。
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カフェラテ好きののあ。 - また更新!?ありがとうございます神作者様!! (3月9日 11時) (レス) @page18 id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - 死ぬほど好きです。もどかしくなる度グワーーーと叫び出したくなるぐらいのめり込んでいました。更新、無理なく頑張ってください。 (12月29日 21時) (レス) @page17 id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)
レノ(プロフ) - めちゃタイプです〜🥹✨素敵な作品ありがとうございます、、、😻😻 (12月23日 2時) (レス) @page17 id: 917f3c209a (このIDを非表示/違反報告)
カフェラテ好きののあ。 - 久々に見たら更新されてた...!(歓喜)更新大変だと思いますが(無理のない範囲で)頑張ってください!! (12月9日 11時) (レス) @page17 id: ee761176f2 (このIDを非表示/違反報告)
アスカミ - うわ!!神!コメントははじめましてですね。ですが今年の7月から楽しみにしてました!!更新楽しみにしてますね!体調気をつけ、程々にがんばってください。 (12月3日 21時) (レス) @page17 id: 6edaad17fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:万年金欠の佐伯さん x他1人 | 作成日時:2023年1月29日 22時